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民法改正・解説コラム 第12回「民事執行法改正の話」
弁護士 矢田 英之
令和2年4月から改正民事執行法が施行され、財産開示制度についても改正が行われました。
財産開示は、債務者を裁判所に出頭させ、資産や収入を開示させる手続です。
改正前も本制度は存在していましたが、申立の要件が限定的であり、なおかつ、呼出しを受けた債務者が正当な理由なく出頭せず、陳述を拒み、あるいは、虚偽の陳述をした場合でも、ペナルティが30万円以下の過料と軽かったこと等から、実効性が乏しい旨指摘されており、現実にも積極的に活用されていない状況でした。
今般の民事執行法改正は、同制度を利用しやすく実効的なものとするため、同制度を利用するための要件を緩和し、なおかつ、違反に対しては懲役刑を含む刑事罰を科すこととして罰則を強化しました。
これにより、今後は、判決を取ったものの債務者の財産を把握できないために回収に難儀しているという場合に、同制度を有効活用できるのではないかと考えております。
弁護士 矢田 英之