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著作権法改正について
弁護士 岩本 拓士
令和3年5月26日に、「著作権法の一部を改正する法律」が成立しました。
この改正の目的は、(1)図書館関係の権利制限の見直し、(2)放送番組のインターネット同時配信等の権利処理の円滑化です。
(1)は、国立国会図書館が、絶版等で一般に入手困難な資料のデータを、事前登録した利用者に対して直接インターネット送信可能となり、図書館等において、一定の場合には著作物の一部をメール等で送信可能となりました。
(2)は、放送番組のインターネット同時配信等を行う際に、放送番組における多種多様な著作物等について、放送とは別の権利処理を少なくするため、放送番組での利用を許諾した場合に同時配信等での利用を許諾したと推定する規定等が設けられました。
これらは、インターネットを通じた著作物の利用を容易にするものですので、時代のニーズに対応したものといえます。
また、現行法では、独占的ライセンスを有している者(著作権者等から、同じ範囲の著作物等の利用許諾権を他の者には付与しないという約束で利用を許諾された者)が、第三者が当該著作物等を利用している場合にその利用を差し止めることは非常に困難となっています。
そこで、現在、著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチームにおいて、独占的ライセンスを有している者が当該著作物等を利用している第三者に対して、その利用を差し止めることを可能とする方向での法改正が検討されています。
このように、著作権法は必要に応じて頻繁に改正されますので、注意も必要ですが、時代を反映した面白い法律ともいえます。
弁護士 岩本 拓士
- 2022年4月7日
- カテゴリ:コラム
- 類型:知的財産の活用やトラブル
- 投稿者:岩本 拓士