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株主総会資料の「電子提供制度」について

弁護士ブログ

株主総会資料の「電子提供制度」について

弁護士 武田 憲人

令和3年3月1日から改正会社法が施行されていますが、今後、令和5年6月10日までに株主総会資料の「電子提供制度」を定めた各規定の施行が予定されています(改正会社法第325条の2乃至7)。

従前、株主総会資料は紙媒体での交付が必要とされていましたが、この「電子提供制度」は、株主の承諾手続を経ずに、計算書類等の株主総会資料をウェブサイト等で提供することを可能とするものです(旧会社法上も一部の資料について電子提供が認められていましたが、株主の承諾が必要でした。)。

この「電子提供制度」によって総会資料の印刷・郵送コストを削減することが可能になる一方で、デジタルデバイドによって株主が必要な情報を得ることができず、結果として議決権行使率の低下を招くといった事態も想定されるところです。改正会社法では株主による紙媒体資料の交付請求権が規定されているものの、企業としては、「電子提供制度」の対象とする株主や資料について、株主の年齢層や構成等を踏まえた検討が必須となってきます。

また、ウェブサイト上での資料提供を安全に実施するために、パスの設定や株主に対する周知方法についても工夫が求められるところです。

法曹業界では裁判手続のIT化が進められているところですが、いずれの業界であっても、時代に取り残されないよう一層アンテナを張り巡らせておく必要がありそうです。


弁護士 武田 憲人

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