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企業のハラスメント対策について

弁護士ブログ

企業のハラスメント対策について

弁護士 佃 七映(ななみ)

令和6年11月1日に「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」が施行されました。同法では、フリーランスの就業環境整備を求めており、その一環として、フリーランスを使用する企業に対してハラスメント対策に係る体制整備義務が定められています。

厚生労働省は、同法により発注事業者である企業が講ずべき措置として、① ハラスメントを行ってはならない旨の方針明確化、その周知・啓発、② 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口の設置)、③ 業務委託におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応を行うよう求めています。

また、これら①~③と併せて講ずべき措置として、相談者等のプライバシー保護や、相談者等への不利益取扱いがなされない旨を定めることなども求められており、これらの方針等は、現に業務委託契約中である者に対してだけでなく、契約交渉中の者にも提示し対応することが望ましいとされています。

現在、企業の従業員のためのハラスメント対策としては、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)や男女雇用機会均等法により、パワハラ・セクハラに関する相談窓口の設置が義務付けられていますが、フリーランス新法に基づく相談窓口は、既に設置されている従業員向け相談窓口をフリーランスも使用できるようにすることで対応が可能とされています。

これらの窓口は、設置後、形骸化せず機能することが何より重要であり、ホームページ等による窓口の周知を実施の上、相談窓口担当者が適切に対応し、相談受理状況等を企業内で確実に認識できるような体制・仕組みづくりが求められます。更に、法改正等に合わせた制度の見直しも必須となりますので、施行されたばかりのフリーランス新法についても、今後の改正に注目が必要です。


弁護士 佃 七映(ななみ)

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