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マンション管理組合において、よくある2つの相談
弁護士 吉田 友樹示
皆様のなかには、4月に新しい年度を迎えて新体制のもと業務を開始し、旧年度からの引継ぎに追われている方も多いのではないでしょうか。
そして、そのような方の中には、長年にわたって解決されていない問題について自らが担当している年度内に目処を付けたいと考えていらっしゃる方も多いでしょう。
今回は、そのような問題の1つとして、分譲マンションにおける諸問題についてのお話しをさせていただこうと思います。
皆様既にご存じのことと思いますが、分譲マンションにおいては、共用部分を維持管理するために区分所有者で管理組合を設立し、その組合を通じて、共用部分の保全管理などを行い、区分所有者全員の共同の利益を保護する形をとっており、管理組合は、日々の管理業務の支出や来たるべき大規模修繕のために、管理費や修繕積立金を徴収しています。
そして、これらの業務を遂行するために、管理組合の理事長などの役員を選任し、それら方々が管理組合を代表して管理運営を行っています。
本来マンションの管理というものは、区分所有者の方々それぞれの問題として考えられるべきものなのですが、残念ながら個々の区分所有者が、自ら管理組合に帰属しているという意識はあまり強くないことが多く、理事長その他理事の選任のほかは、ほぼその役員たちだけが業務を行っており、何か問題が発生しても、当該役員だけがその対応にあたらなければならず、役員となった方々が大変な思いをすることもしばしばです。
当事務所でも、管理組合の役員の方からご相談をいただくことがありますが、管理組合において、よくあるご相談としては、
- 異臭や騒音などの近隣居住者に関するトラブル
- 管理費・修繕積立金について、長年にわたって滞納している
というものが挙げられます。
まず、騒音や異臭の問題ですが、これについては、管理組合においては管理規約違反による差止めやそのための費用について損害賠償が認められることがあります。
また、居住者においても、人格権侵害としての差止めや損害賠償を認められることがあります。
実際にも、ペットの飼育が制限されているマンションにおいて、居住者が野良猫に餌をあげていた事案で、その糞などによる害を防ぐために、猫に対する餌やりを禁止し、管理組合及び居住者に対して損害賠償が認められた事案があります(東京地裁立川支部平成22年5月13日判決)。
居住者の損害賠償が認められるかどうかについては、受忍限度(一般人が社会通念上許容できる限度)を超えたものであるかどうかが判断の基準となりますが、あくまでも一般人を基準とするものです。
その判断の基準としては、例えば、騒音については具体的な騒音レベル(db)が重要な要素であると考えられ、例えば騒音規制法やそれに基づいて定められた各自治体における規制基準などが一つの指針となるでしょう。
しかし、上記基準も絶対的なものではなく、具体的な状況などによっても異なるものですから、状況に応じた判断が必要です。
管理組合におけるもう一つの大きな問題として、一部の区分所有者が長年にわたり管理費や修繕積立金を滞納しており、他の区分所有者との間の不公平感を解消したいというお悩みをお持ちのところもあるでしょう。
この場合、管理費及び修繕積立金の時効は5年ですので、5年以内に何らかの方法をとっておく必要があり、その方法としては以下のようなものが考えられます。
- 内容証明郵便を出して、支払いを求める
- 交渉が出来れば公正証書を作成する
- 出来なければ以下のような法的手段を検討する
- 手段1 支払督促(相手方がいるのに無視している場合など)
- 手段2 訴訟(相手方が行方不明の場合など)
- 手段3 賃料の差押え(賃借している場合)
- 手段4 先取特権競売(住宅ローンが付いていない場合)
- 手段5 相続財産管理人の申立(相手方が死亡しており、相続人がいない場合など)
これらの方法は、状況に応じて手続きを考えることとなります。
また、上記のような方法をとったとしても解決が図れない場合があり、その場合の最終手段として、区分所有法59条に基づく競売というものもあります。
この手続は、上記に記載したような手続きがオーバーローン(不動産の価値を抵当権が設定された負債などが上回っている状態)の場合では進められないのに対して、そのような状況でも区分所有者の意思にかかわらず強制的に競売手続を進めることが出来る強力な手続ですので、厳しい要件が課されており、そのための十分な根回しや準備が必要となります。
以上のような様々な問題について、当事務所は電話による無料相談を行っておりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。
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弁護士 吉田 友樹示